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2011年11月24日木曜日

CD10 ドミンゴ&ジュリーニ/オペラ・ガラ

三大テノールの一人、ブラシド・ドミンゴと
カルロ・マリア・ジュリーニの競演のオペラ・ガラだ!

オケと歌の、呼吸のあった好演だ!
ボーカルをガツンと全面に出した録音で
ドミンゴの歌をたっぷりと堪能できる。

オペラの曲をちゃんと聴くのは今回が初めて。
まず、ドミンゴの声のパワーが凄い!

オケのボリュームに、ステレオの音量を合わせると
苦情がくるのではないか!と思うくらい声がでデカい!
録音のバランスで声がデカい、というだけではなく
多分、本当に凄い声量なんだと思う。
それが、このCDで伝わってくる。
まるで、宇宙戦艦ヤマトの波動砲のようなパワーだ!

芯がドンとあり、ハリのある声質。
また、8曲目の、高音で歌うフレーズが、非常に美しい声質で驚きだ!

ロサンジェルス・フィルも
虫メガネで小さな物を観察するかのように繊細な演奏で
歌をしっかりとサポートしている。
そして、歌の言葉は解らなくても、オケの演奏を聴いていると
歌の感情がさらに膨らんで心にスッと入ってくる感じがする。

あと、これはクラシック通の方からは笑われそうなんだが
このCDのロス・フィルの音が、ドイツ風なサウンドの様に聞こえる。
なんとなく素朴さを感じるような
色で例えると、くすんだメタリック・ブラックのようなサウンド。
以前にエリー・ナイの後期録音集を聴いたのだが
それにベートーベンのピアノ協奏曲があり
そのオケのサウンドに近い感じがするのだ。
これは、本当に感覚的な感想なのだが・・・。

聴けば聴く程に、非常に情熱的な感情がビシビシと伝わってくる。
いつか、オペラの映像も見てみたい!と心から思えるCDである。

次回、CD11、ドウダメル&ベネズエラ・シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ/マーラー5番














2011年11月21日月曜日

CD9 カルミニョーラ/ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲


壮快な演奏で、非常に素晴らしい!!

楽譜とは、まさに!タイムカプセルという事を実感!
ヴィヴァルディは、自分の死後278年後の未来に
自分の音楽が聴かれると想像してたか!
そして、ファーイーストの日本で、曲が聴かれて
感動している人間がいると想像しただろうか!

さて、このCD。
まるで、時には優しく、時には激しく吹く春風のような、清々しい演奏だ!
サウンドも、残響音がけっこうあるのだが、けっして楽器の音を邪魔せず
アンサンブルがちゃんと聞こえる、音響的センスの良さを感じる上質なリバーブだ!

1曲目の冒頭から、不意打ちをくらった!
エレキギターの早弾きが好きな私にとって
カルミニョーラのバイオリンの絶頂テクニックに圧倒されてしまった!
まるで、バイオリン界のデラ・ヴェガか!
(注:デラ・ヴェガはハードロック・ギター界で現時点で世界最速のスピード・ギター・プレイヤーだ!)

そして、ヴェニス・バロック・オーケストラの何ともキラビやかな音!
小編成ながらも、時にはオーケストラのような迫力と突進力!

あれ?聴いているうちに、チェンバロや、ギターの様な弦楽器の音が聞こえる。

あっ!これは古楽器の演奏ではないか?!
よくよく聴いてみると、ビブラートがほとんどかかっていない。

色々なクラシック記事を読むと、古楽器演奏に対して、時々目にする意見は
モダン楽器で古楽器奏法をしている演奏が多く、非常にけしからん!
との話を読み、古楽器奏法に対して、あまり良くない偏見を持ってしまっていた。

しかし!そんな偏見は一瞬のうちに吹き飛んでしまった!
各楽器のサウンドが解け合って、清流のような透明感と
決めるところはビシっと決める歯切れの良さ。

このCDは、相当な楽器へのこだわりと、古楽器の奏法に対する徹底ぶりとの事。
詳しくは、他のレビューや記事を、ぜひ!読んでいただきたい!

装飾音も見事に表現されている、との事だが
装飾音に関して、以前に本で読んだ事がある。
装飾音というパターン化されたフレーズと
そのフレーズを表す記号があるとの事だ。
このCDのバイオリンの演奏の、フレーズの細かさは
その装飾音のモノなのか?

このCDに納められている5曲は、世界初録音との事。
ヴィヴァルディは「四季」しか聴いた事のない私にとって
以前に何回も録音されている有名な曲も、初試聴なのだが
このCDは忘れがたい1枚になりそうだ!

歌をビブラート無しで歌い、感動させるのが至難な事のように
カルミニョーラのバイオリンは、若干ビブラートはあるものの
ビブラートに逃げず、どこまでも旋律とサウンドで勝負している。
そして、抑揚と硬軟が効いた演奏で、聴いている人の心にそっと入ってくる。

この録音にたずさわったアーティストの
音楽力の高さを感じる1枚である!

次回、CD10、ドミンゴ&ジュリーニ/オペラ・ガラ