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2011年12月1日木曜日

CD12 エマーソン・カルテット/バッハ:フーガの技法

弦楽四重奏のフーガの技法だ。

チェンバロの曲として書かれたらしいが
オープンスコアのため、さまざまな楽器で演奏してよい
との解釈から色々な音源がある。
私は、フーガの技法を聴くのは、このCDが初めて。

このCD、聴き方を失敗してしまった!

私は作曲をするのだが
音楽の理論的な興味がフツフツとわきすぎて
聴く前にフーガの概念を調べすぎてしまい
音の構成を聴く方に重点を置いてしまった。

なので、聴き疲れしてしまって
しばらくの期間、音楽的な感想が湧いてこなかった。

しかし!頭を切り替えて
音楽として純粋に聴いてみた。
そしたら、見えてきたぞ!

フレーズとフレーズが美しく交差する
高級な布生地のような音楽だ!

また、バッハが自身の晩年を荘厳するかのような
巨大で古い西洋の城を、下から見上げているような感覚になる演奏だ!

サウンドは良い!
残響音が適度にあり、それでいて各楽器がハッキリと聞こえる。
そして、弦楽四重奏なので、フーガの音の構成が聴いていてよく解る。

このCDを聴いて感じた事は
自作の曲のアレンジにも、フーガの技法を使ってみようと思った。
そして、しばらく期間をあけて、改めて聞こうと思う。
そうする事で、楽理的な聴き方ではなく
純粋に、音楽として、楽しんで聴けると思う。

次回、CD13、フィッシャー=ディースカウ&ムーア/シューベルト:冬の旅


2011年11月28日月曜日

CD11 ドウダメル&シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネスエラ/マーラー5番


私にとってベネスエラは、超リズム大国という印象がある。

ホローポという、ベネスエラ地域の民族音楽があるが
もの凄いリズム感と、リズムのアンサンブルの組み合わの音楽だ。

その音楽で、マラカス、カホンを使う。
その、マラカスとカホンの奏法を見よう見まねで練習した経験がある。

特に、マラカスのテクニックは
世界随一を誇る圧倒的な技術とパフォーマンスで
度肝を抜くマラカス奏者がいるのだ!
ベネスエラの人のリズム感は
世界でトップクラスと言っても過言ではあるまい!

その、ベネズエラが誇るオーケストラと指揮者の演奏が、このCDだ!

このオケは、中高生から20代後半までのメンバーで構成されている。

ベネスエラには「エル・システマ」という
ベネスエラ政府の資金や寄付で運営する
クラシック音楽の教育制度がある。

この音楽教育制度は、放課後に子供たちを音楽に従事させて
青少年を犯罪から更正させ、また、犯罪から守る役割を果たす。

その制度による、200の青年オケがあり
その中から選抜されたメンバーで構成されているオケが
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネスエラだ!
その指揮者のドウダメルも、「エル・システマ」で学んだ若き指揮者だ!

さて、CDの感想だが・・・
一音も見落とさない、非常に丁寧かつ、精巧であり、大胆で
輪郭のくっきりとしたマーラーだ!
まるで、大江戸博物館にある、精巧に作られた
江戸の町の巨大なジオラマのように
大所帯のオケが、精巧なフレーズの組み合わせで
巨大かつ精巧な交響曲を作り上げている!

このCDを聴く前、正直なところ
「若いオケに、マーラーは表現できるのだろうか?」と
疑問を感じていたが、とんでもない先入観だと反省した。
青年の熱と力と、純粋さとまっすぐさで
体当たりでマーラー5番と戦った結果が、音にしっかりと表現されている。

マーラーの交響曲の楽しみの一つは
音が、聞こえるか、聞こえないかという部分を
どのように表現するか、というのがあるが
その、ギリギリ聞こえる感も、非常に素晴らしい!
サウンドも非常に良く、左右の楽器の振り分けが楽しめるCDだ。

本来、このブログはCDの感想だが
ぜひ!皆さんに、このオケの動画を見る事を強く勧める!

青年達が、自ら望んで音をだしている喜びが
ビシビシ伝わってくる!
そして、演奏しながら、歌いながら、
楽団員の体が自然と揺れてくる。

指揮者も、その姿を自身の喜びと楽しみにして、全て受け止めている。
そして、演奏が終わると
観客の鳴り止まない拍手と大歓声が、ずーーーと続くのだ!

YouTubeで見た映像は、二人の女性歌手と合唱団とオケの演奏。
曲が終わるとき、女性歌手も、オケのメンバーも
感動の涙を流しているのだ。
私も、一緒に涙を流してしまった。

このCDは、青年の無限の可能性への挑戦と
それに打ち勝つ姿が凝縮されている。

そして、青年が、自身の可能性と力を
思う存分発揮できる世の中を作り
青年を全力で応援し、支えてゆく事が
私達、大人の役割だと感じる。

それが、社会、世界全体の進歩なのだと思う。

次回、CD12、エマーソン・カルテット/フーガの技法