このボックスセットの音楽の幅広さったら
まるで玉手箱のようだ!
まさかウェストサイド・ストーリーが入ってるとは思わなかったなあ。
マーラーで有名な、バーンスタイン作曲のミュージカルの曲を
自ら指揮した音源。
このCDを聴く前に、映画のミュージカルを2回見ました。
良かったですな!
ストーリも面白かったし、ダンスも!そのダンスのフォーメーションも!
カメラの撮影や、アングルなどもスピード感があって素晴らしい映画でした!
また、凄い良かったのは、役者の演技の熱の入り方とリアリティー!
マイケル・ジャクソンは、このミュージカルに
かなりリスペクトされてるな、としみじみ感じました。
肝心のこのCDですが、最初に歌が聞こえたときは
正直なところ、違和感を感じてしまった。
オペラ歌手が、ワザとくずしてうたってる感じが
無利してるなあ、と思ってしまいました。
このCDはハズレか?と思いましたが、いやいや!
「マリア」「バルコニーにて、トウナイト」の歌声の素晴らしさ!
映画の歌もなかなか良かったですが
このCDでは、マーラーの歌曲のよう。
聴き進めてゆくうちに、違和感は感じなくなってきた!
「一つの心」も映画での結婚式の真似事の場面を思い出す。
それが、このCDを聴いていると、その場面がもっともっとロマンティックに思えてくる。
そしてクインテッドの方の「トウナイト」!
4つの旋律で、4つの場面が同時進行している事を表現。
なるほど!
「なんて奇麗なの」では乙女の初々しい恋のトキメキを、可愛らしいサウンドで奏でる。
「クラプキ巡査どの」オケも歌手も、曲を思いっきり楽しんでいるかのよう!
皆、地声で歌いきっちゃってるよ!
「私は愛してる」これは、映画のなかでのアニタの演技が本当に素晴らしい!
マリアの話を聴いているアニタは、マリアのトニーへの愛の深さに
涙を流し納得する場面。憎しみを超えた愛と友情だ!
そして「フィナーレ」トニーが銃で撃たれ死ぬ。
その亡がらを誰にも触らせまいとマリアが抱きかかえる。
結局、暴力からは何も生まれなかった。
すげーぞ!ウェストサイド・ストーリーは!
これは、単なる青春ミュージカルではなく
様々な対立からは何も生まれない、という強い強いメッセージなのだ!!
そして暴力で勝っても負けても、だれ一人として幸福にならず
かえって不幸に落ちてしまうという、教訓なのだ!
バーンスタインは、わざわざこのCDをなぜ録音したのか。
クラシック音楽への窓口として作ったのではないか、とも思うが
さらに、若者への、烈々なメッセージだったのだろうと思う。
ドラッグ、暴力、人種差別、世代間の対立、そんな事で青春を棒に振ってはソンだ!
世の中には、こんなに素晴らしい音楽を作れるように
君も、自分で素晴らしい人生を作ってみないか!と言っているような気がする。
賛否両論のこのCDだが、バーンスタインのこの録音に込められた心を想像すると
何だか胸が熱くなって、泣けてくるのである。
次回、ベーム/モーツアルト:レクイエム