ベルリンフィルが、メタリックグレーとでも例えられる
いかにもドイツらしいサウンドを奏でる!
そして、ケンプの確かな技術の
繊細で実直な、非常に響きの良いピアノのサウンドが
オーケストラの音と完全に解け合っている!
サウンドのバランスは
若干ピアノの音が前に出ていて
それでいて、オケの音も出す所は出す!というような
ピアノ協奏曲として、聴き易くバランスの良いサウンドだ!
ケンプって本当に上手いピアニストだと思う。
難しいフレーズでも、オケとのリズムが崩れない!
難しいフレーズでも、テンポがモタつかない!
オケとの掛け合いのような部分も、リズムが走らない!
ケンプは、以前にベートーベン、ピアノソナタ全集を聴いたが
ピアノを歌わすのが非常に上手いピアニストだ!
そのケンプの演奏が、ライトナー指揮のベルリンフィルの音と
一体となって、まるで、ピアノシンフォニーとでもいうような
素晴らしい作品となっている!
ライトナーも、決してオケが出しゃばる訳でもなく
かといって、ピアノに遠慮して控えめでもなく演奏している。
ケンプも、オケと寄り添うように演奏していて
なおかつ、出る所はガツンと出る!!
本当に素晴らしい演奏!
4番も5番も、凛々しくもおしとやかな楽想で
ベートーベンの激しさと、繊細さが見事に表現されている。
この演奏はまるで、ある老夫婦が
一つの洋食屋を長年経営してきて
言葉を交わさなくてもお互いの動きを察知して
いいタイミングでドリンクと食事を出し
多くのお客さんに毎日喜んでもらえるサービスを
提供し続けている、心和む店のような演奏だ!
このCDは、ピアノ協奏曲のお手本のような
本当に素晴らしいアルバムだ!
名盤といえるだろう!
次回、CD28、クライバー、ウィーンフィル/ベートーベン:第5&第7