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2012年1月20日金曜日

CD27 ケンプ、ライトナー、ベルリンフィル/ベートーベン:ピアノ協奏曲4番&5番


ベルリンフィルが、メタリックグレーとでも例えられる
いかにもドイツらしいサウンドを奏でる!

そして、ケンプの確かな技術の
繊細で実直な、非常に響きの良いピアノのサウンドが
オーケストラの音と完全に解け合っている!

サウンドのバランスは
若干ピアノの音が前に出ていて
それでいて、オケの音も出す所は出す!というような
ピアノ協奏曲として、聴き易くバランスの良いサウンドだ!

ケンプって本当に上手いピアニストだと思う。
難しいフレーズでも、オケとのリズムが崩れない!
難しいフレーズでも、テンポがモタつかない!
オケとの掛け合いのような部分も、リズムが走らない!

ケンプは、以前にベートーベン、ピアノソナタ全集を聴いたが
ピアノを歌わすのが非常に上手いピアニストだ!
そのケンプの演奏が、ライトナー指揮のベルリンフィルの音と
一体となって、まるで、ピアノシンフォニーとでもいうような
素晴らしい作品となっている!

ライトナーも、決してオケが出しゃばる訳でもなく
かといって、ピアノに遠慮して控えめでもなく演奏している。

ケンプも、オケと寄り添うように演奏していて
なおかつ、出る所はガツンと出る!!

本当に素晴らしい演奏!

4番も5番も、凛々しくもおしとやかな楽想で
ベートーベンの激しさと、繊細さが見事に表現されている。

この演奏はまるで、ある老夫婦が
一つの洋食屋を長年経営してきて
言葉を交わさなくてもお互いの動きを察知して
いいタイミングでドリンクと食事を出し
多くのお客さんに毎日喜んでもらえるサービスを
提供し続けている、心和む店のような演奏だ!

このCDは、ピアノ協奏曲のお手本のような
本当に素晴らしいアルバムだ!
名盤といえるだろう!

次回、CD28、クライバー、ウィーンフィル/ベートーベン:第5&第7

2012年1月18日水曜日

CD26 カラヤン、ベルリンフィル/第九、コリオラン

ついに登場!カラヤン、ベルリンフィル!

このCDは1曲目のコリオランが実に素晴らしい!

第九は残響音がけっこう深く
若干だが輪郭がモワッとしている。
もちろん!演奏はダイナミックかつ迫力は十二分にある!
サウンドは重低音、高音も素晴らしいが
欲を言うならば、中音のドカンとくる迫力がほしい。

70年代の交響曲全集がゴージャスとすると
こちらはマイルドな感じがする。

小さな音で効くと
ステージからこっけう遠くで効いている感じがするので
ぜひ!この第九を聴くときは
大きなスピーカのオーディオで
デカイ音で聴いてほしい。
すると、あたかも響きの良いホールで聴いているかと
錯覚を覚える程の演奏である。

とにかく!このCDはコリオランの迫力と曲想が
非常に素晴らしい!

コリオランは、ハインリッヒ・ヨハン・コリン作の
5幕からなる悲劇「コリオラン」の為に書かれた序曲だが
劇のコリオランで実際に演奏された記録は無いとの事。

コリオランのあらすじは・・・

主人公コリオランは、古いローマの貴族の一門に生まれ
庶民の群と結託し、コリオラン自ら第一陣にたち
自分の味方に反旗をひるがえし出陣する。

しかし、母親の切な、いましめと懇願により
意をひるがえし改心するが
結局は庶民群の為に殺害される。
(属啓成著、ベートーベン作品編参照)

この曲、コリオランは
劇の内容と楽想が一分の隙もなく
ぴったりと合致するとの事だ!

その、ドラマチックな曲を
カラヤン、ベルリンフィルの最強オーケストラの演奏で
あたかも映画でも見ているような錯覚さえ覚える。

すでにコリオランを
5回程聴いてしまった。

仕事に疲れた体で少し休憩したいのだが
あと1回聴いたら休もうと思っても
さらにもう1回聴いてしまい
またまた、さらにもう1回聴いてしまう。

その演奏の迫力と繊細さに
取り付かれてしまうのではと思う程の
素晴らしい演奏だ!

このCDは
コリオランの名盤と言っても良いのではないか、と思う1枚である。

次回、CD27、ケンプ、ライトナー、ベルリンフィル/ベートーベン:ピアノ協奏曲4番&5番













2012年1月17日火曜日

CD25 ヨッフム「カルミナ・ブラーナ」

かの有名な曲からはじまるこのCD。
まるでオープニングの曲想と歌詞は平家物語の冒頭に通ずるものがある。

祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、

と、ほぼ同じような意味合いの歌詞の曲から始まる。

そして、俗世間の色恋事や
酒の席での愚にもつかない話。
人生の喜怒哀楽を歌ったこの曲は
最後にまたオープニングの曲にもどり
人生とは六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の6つの生命状態)を繰り返す
とでも言わんとばかりのフィナーレで終わる。

25曲、さまざまなシチュエーションの歌詞だが
その歌詞の雰囲気を音で良く表している。

そして、その雰囲気を演奏と歌が
感情豊かに表現している。

このCDの約1時間程の演奏で
人生を表現しているのだ!

なんともドラマチックなCDだろう!
劇的な音楽で幕が開け
そして劇的な最後で幕を閉じる。

なんだか、自分の人生を振り返り
今までの自分はこれで良いのだろうか?
と、考えさせられる
非常に説得力のある1枚である。

次回、CD26、カラヤン、ベルリンフィル/第九、コリオラン



偏に風の前の塵に同じ。

2012年1月16日月曜日

CD24 ホロヴィッツ・イン・モスクワ

このCDはとてもいいです!
ピアノ好きには、絶対におすすめです!

ホロヴィッツが、自分の心をそのまま音にしているかのような演奏!

決して押し付けがましい所がなく
自分がピアノを弾きたいから弾いてるだけ
とでもいうような演奏だ。

非常に繊細なタッチと、確かなテクニックの演奏なのだが
その技巧をまったく感じさせず
曲そのものを透明感あるサウンドで
聴く者を、曲の世界に没頭させてしまう
非常に素晴らしいCDである!

聴いているうちに
小説でも読んでいるかのような錯覚を覚える程の
ドラマ性を感じる演奏だ!

そして、音の強弱のコントラストの幅が大きいが
その弱音で時々弾く、高速フレーズが
水が流れるかのごとく、非常に美しい。

ホロヴィッツの演奏を例えるならば
まるで、ガスコンロでお湯をわかした時の水泡のような演奏だ。
強火ならば、大きな水泡がブクブクと激しくわき
弱火ならば、小さな水泡がプクプクと小さくわく。

そのお湯の水泡の様に
ホロヴィッツの演奏は
無限の強弱のコントラストで
内面を自由自在に音で表現できる
素晴らしい演奏家である!

このCDは、今後も何回も聴く事になるだろう。
ピアノ演奏のCDの中でも
私が最も好むCDとなるに違いない。

次回、CD25、ヨッフム「カルミナ・ブラーナ」