若干、控えめな指揮というか、おしとやかな雰囲気を感じるCDである。
曲順は、ペトルーシュカに始まり、春の祭典と続く。
ペトルーシュカは、バレエのストーリーが目に浮かぶような
イキイキとした演奏だ。
市場の喧噪、魔術師の登場。ペトルーシュカの愛、怒り、悲愁などの感情。
バレリーナ、ムーア人の感情を、上品に表現している感じで
まずまずの好演だと感じた。
そして、春の祭典・・・。
この曲、実は5回、6回、7回と聴きました。
その理由は・・・
感想が湧いてくるような、音楽的な感動が見つからなかったからです!!
なので、曲のストーリーなどをしっかり読んで
何回か聴いているうちに、何か感じる部分が見えてくると思い
忍耐力を最強モードにして聴き込みました。
しかし!これは困った!感想が出てこないのだ!
この曲は、どのような音楽アンテナで聴けばいいか、ぜんぜんつかめなくて
何回も、何回も聴いてしまいました。
そしたら、ある瞬間に、かすかな感想の光が見えてきました!
もしかして、この曲はプログレを聴く時のアンテナにすれば
何か見えるかもしれない・・・と。
さらに、「クラシック音楽鑑賞事典」で曲のあらすじを確認。
準備万端に整えて、いざ!改めて春の祭典の試聴にチャレンジ!
1、大地の礼賛
曲の流れはこうだ。
序曲→春のきざしと若い男女の踊り→誘拐→春のロンド→二つの村→
敵対する村の遊戯→賢人の行列→大地の礼参→大地の踊り
おーーー!やっと曲が見えてきた!
曲のストーリーを、細かく区切って聴いてゆけば
映像がどんどん湧いてくる!
演奏が、若干控えめな感じなのが幸いして、バレエを踊っているイメージが
俺の頭の中でガンガン膨らんでくるーーーーー!
おー!集っては散り、動いては止まり、激しく華麗に回ってるぜ!
この曲は、何となく聴く曲ではなく
ちゃんと場面を理解して聴く曲だったのだ!
最後の方は、まるでホルスト、惑星組曲の火星をイメージするような
恐ろしく、不気味なものが進軍してくるような迫力だ!
では次に行ってみよう!
2、生け贄の祭
序曲→若者の集会→選ばれた乙女への賛美→祖先の霊→祖先の儀式→神聖な踊り
凄く静かで、神聖な儀式のような演奏がしばらく続く。
すると、突然、大きな火柱がバー!と燃え上がったような演奏!
ティンパニーが、迫っては遠ざかるかのように、凄い重低音の迫力で響く。
そして、変拍子のフレーズがしばらく続き、聴いているうちにトリップしてくる。
あー、脳内麻薬が分泌されるーーー!
すると、突然!息絶えるように終わる。
この曲、スゲー難曲じゃねーか!
その曲を、スムーズに流れるように聴かせる
ブーレーズの譜面読みは、驚愕的に深いのではないか?!
このCDは、曲の聞き所をつかむと、病み付きになるかもしれない恐ろしいCDかも。
まるで、暗い部屋に閉じ込められて、はじめは何も見えないが
だんだん目が暗闇に慣れてくると、周りの物が見え始め
そして、しばらくすると暗いながらもハッキリと見えてくる時のように
このCDは、魅力を少しでも感じてくると、全体の演奏の深さが見えてくるのだ!
いやはや!このCDは、聴き始めてから悪戦苦闘して、感想を書くまでに4日を費やした。
途中でくじけそうになったが、CDの素晴らしさを感じた今
山を一つ制覇したような、壮快な気分と喜びに満ちている。
次回、CD9、カルミニョーラ/ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集