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2011年11月15日火曜日

CD7 ベーム、ウィーンフィル/モーツアルト:レクィエム


ウィーンフィルの本拠地、ムジークフェラインザールでの録音。
沈み行く太陽を、この手の中に抱きかかえたような
物凄く壮大なサウンドだ!

オケ、4人のソリスト、合唱のバランスが非常に良く
各パートの音が、しっかりと聞き取れる素晴らしい録音だ!

目を閉じて、両腕を広げて、天を仰ぎたくなる!

試しに、実際にやってみた。
そしたら、不思議な事に、眉間にシワがより、顔を下に向けて
両腕を胸の前で重ね、何かにすがりたい気持ちになる。

このモーツアルト最後の作品には、有名なエピソードがある。

モーツアルトのもとに無名の使者がたずねてきて
この曲の作曲を依頼し、その使者を、自分の死を告げる使者と思い込み
自分の冥福を祈り、泣きながら作曲したとの事。

モーツアルトはレクイエムの第1曲のみを完全に完成させ
1791年12月5日、悪性チフスのため、感染を防ぐ為に
急いで共同墓地に埋葬されたので、妻、友人がかけつけた時には
どこに埋葬されたかわからなかったそうだ。

未完の部分は、弟子の手で
モーツアルトのスケッチや指示をもとに、補筆完成したとの事。

この、ベーム、ウィーンフィル、ウィーン国立歌劇場合唱団、4人のソリストの
レクイエムは、亡くなった人を送る曲というよりも
モーツアルトの、まだ、俺は死になくないんだ!もっともっと生きたいんだ!という
まるで、握った拳から血が流れ出るような、そんな悲痛な思いを感じる演奏だ。

このCDを聴いて、フランダースの犬の、有名なラストシーンの
天使に送られて天国に行く場面を思い出したり
また、荒波が巌に打ち付けられ、白く大きな波しぶきを上げるような
そんな場面を連想させるような厳しさを感じたりした。

このCDの演奏は、偉大なる音楽家の、偉大なる奏者による、偉大なる名演だ!
クラシック音楽の醍醐味と、サウンドの美しさを
全て備えた、文句無しの名盤である!

次回、ブーレーズ、クリーヴランド管弦楽団/ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ、春の祭典












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