ギレリスの演奏は、点をむすんで線にしたかのような
音の1つ1つが明確で、非常に素晴らしい演奏だ!
そして、ベートーベンの感情の起伏の激しさを
音でそのまま表現したようなCDである。
ベートーベンは、逆境にも負けない、意思の強い男らしさと
女性のような繊細で、恋に憧れる女性らしさが同居しているような人物だと思う。
1曲の中での、感情の起伏が極端に激しいベートーベンの曲を
ギレリスは見事に演奏しきっている。
また、細かいテクニカルな旋律が、見事に技術から芸術に昇華している!
ピアノのタッチが、繊細かつ大胆だが
まるで、繊細さは、木の葉から朝露がポツリと落ちるかのよう。
そして、大胆さは、巨大な鉄のハンマーで、大地をガンガンと叩くかのよう。
その、演奏のコントラストの差が、本当に素晴らしい!
サウンドも良い。
大きなスピーカーで、大きめのボリュームで聴くと
あたかもコンサートで、前の方で聴いているかのようだ。
それにしても、ベートーベンはいいなあ。
1人の人物が作曲したとは思えない程の
音楽の幅の広さとレパートリーなので
全集などを聴いても飽きがこない。
そして、なんだか、小説を読んでいるかのように
曲の中に、心の変化を物凄く感じて
聞き終わった時、自分の心の密度が濃くなるような気がする。
そのような曲と、曲の良さを最大に引き出す
ギレリスの力量があっての、素晴らしいCDである。
次回、CD21、ムジカ・アンティクワ・ケルン/バッヘルベル:カノン、その他
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