1曲目の歌の出だしを聴いて
現在のポピュラーソングに近いと感じた。
現代人の感性に、ダイレクトに飛び込んでくる歌曲だと思う。
以前、日本の歌謡曲の歴史の本を読んだ事があるが
その文中に、日本の歌謡曲はシューベルトに影響を受けているのでは
との見解があったが、その事をこのCDを聴いて実感した。
シューベルトの「冬の旅」が発表されたのは1827年。
その時、日本は江戸時代で
「冬の旅」の発表の前年の1826年に
シーボルトが江戸にピアノを持参している。
もしかしたら・・・
そのピアノで「冬の旅」を江戸時代の誰かが演奏したのかもしれない
と想像すると、なんだか歴史のロマンが膨らむのだ。
さて、このCDの感想だが
非常に良い!
ディースカウの感情移入が程よい歌唱と
ムーアの抑揚の効いたピアノ演奏が
同じ歩調で、同じ道を歩いてるかのような
どちらか一方が欠けても成り立たない
一心同体の演奏だ!
どちらか一方が欠けても成り立たない
一心同体の演奏だ!
まるで、刺身と醤油のような関係だ。
刺身と醤油は、別々に味わったら
当然の事ながら、刺身は刺身の味、醤油は醤油の味のみだが
刺身を醤油に付けて食べると
お互いの味を極限まで引き立て合うように
歌とピアノが、お互いの演奏を引き立て合い
曲が持っている、心の僅かな振動をも
非常に素晴らしい演奏で表現している。
「冬の歌」を冬に聴けて良かった!
寒風の中、恋人にフラれて
この世界に、こんなに悲しい気持ちなのは
自分一人だけなのだ、という
初恋に破れた時のような
どこまでも澄んだ水の冷たさのような寂しさを
バーチャル体験できるからだ!
このCDを、外で歩きながら、寒さに震えて聴きたい。
そして、さらにこのCDの歌曲の心に迫ってみたい。
次回、CD14、フルニエ/J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲、1〜3
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