バレンボイムの細部まで感情の行き渡った指揮と
上品で余裕がある紳士の、体温と脈を感じるような
パリ管のサウンドの、まさに!
映画を見ているかのような、視覚的なイメージを沸き立たせるラヴェル曲集。
特に!ボレロ、亡き王女のためのパヴァーヌ、ラ・ヴァルスは名演だ!!
ダニクロも表情豊かな演奏。
イコール、このCDは名盤だ!!
★まずボレロ。
同じメロディーを何回も繰り返して、アンサンブルの変化のみで徐々に盛り上げてゆく
その発想と作曲能力とアレンジ力は、熟慮を重ねに重ねた結果だと感じた。
バレンボイムの指揮も、一歩一歩、しっかりと歩くように、決して焦らない。
しかし、にエンディングの爆発的な盛り上がりに向けて、手綱をがっちり握り
前へ、前へと、曲を確実に進めている。
まるで、東京スカイツリーに行くため、はじめは遠く小さく見える目的地に
しっかりした足並みで歩いてゆくかの様。
だんだん、スカイツリーがでかく見えるのに興奮を覚える。
そして、ついにスカイツリーの真下に到着して、あのデカさに驚愕する時のような
そんなスケールのデカい演奏だ!まいった!
★亡き王女のためのパヴァーヌ。
美しい・・・あまりにも美しすぎる・・・。
ラヴェルが若い王女の肖像画を見て曲を発想した、との事だが
その曲想の素晴らしさは、人間の想像力の、無限の可能性さえ感じるほどだ。
・・・・あっ、曲に聞き入ってしまい筆が止まってしまった。
この曲を聞いて、こんなイメージをした。
友達以上、恋人未満の若い男女が横浜に昼から車で遊びに行く。
食事して、買い物して、映画みて、そして夜になってもうすぐ帰りの時間。
彼女はまだ若いから、お父さんに決められた門限があるのだ。
だから、もっとずっと一緒にいたいのに、今日はもうすぐお別れ。
横浜の夜景がキラキラと宝石のように見える一番美しい場所に
しばし車を止めて今日の楽しかった事を思い出し、語り、そして
まるで世界が最後の日のように、今日の別れを惜しみ
ゆっくりと車のアクセルを踏み込み、夢の一日は終わる。
はあ・・・この曲が永遠に終わらなければいいのに・・・
ため息が出る程の美しさに、10回以上、リピートして聞いてしまった。
★ラ・ヴァルス
フランス語でワルツの意味。
この1曲で映画を見ているような気分になる。
楽譜にこう記されているとの事。
「渦巻く雲の絶え間からワルツを踊る数組の男女がちらちらと見える。
雲が次第に消え去ると、旋回する人々で満たされた大きなホールが現れる。
場面は次第に明るくなる。シャンデリアがいっせいにともる。1855年ごろの宮殿」
まさにその記述を連想させる曲想だが、私なりにその後半をこう記したい。
「その宮殿での舞踏会も最高潮に盛り上がってきた時に、外が、ただならぬ不安な
気配を感じる。でも、気にしないでワルツを踊ろう。しかし敵国の軍隊は確実に
この宮殿に迫りつつある。そして!ついに宮殿への攻撃が始まる。町は戦火に巻き込まれる。」暗澹たる思いで曲を聞き終わった。
曲のはじめは楽しく聞いていたが、だんだん不安な雰囲気になり、最後は破壊的に終わる。
小泉元首相の「ぶっ壊す!」発言を思い出した。
★気分を変えて、バレー組曲・ダフニスとクロエ、第2組曲。
3部構成の組曲。連続して演奏する。
1、夜明け
夜明け前の濃い紫の空に、鳥のさえずりが聞こえ、密度が濃く、冷たく、限りなく透明な大気。
徐々に日が昇ってくる。両手を大きく広げて、朝日を全身で受け止めるかのような演奏。
2、無言劇(パントマイム)
フルートが素晴らしい!
2人の男女を、木陰から色々な動物が見てて、2人にちょっかい出してるかの様。
ディズニー映画のサントラみたいに、なにかしらの情景を思い浮かべてしまう曲想。
3、全員の踊り
大人数が大火を囲み、野性的な踊りを繰り広げているかの様。
ディズニーのファンタジアを連想する。
このCDは、各曲ごとに、映画を見ている気分になるような
音で情景描写をしたかのような曲集でした!
次回、CD5、ミケランジェリ/ドビッシュー前奏曲集第1巻&映像
音楽なのに映像って。演奏している映像でもオマケでついてるのか?!
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