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2012年2月23日木曜日

CD31 ラン・ラン、バレンボイム&シカゴ響/チャイコフスキー、メンデルスゾーン、ピアノ協奏曲

ランランの力強く、かつ繊細な演奏と
バレンボイム&シカゴ響の、オケだけでも演奏がなりたつ程の
起伏にとんだ感情豊かな演奏のベストマッチのCDだ!

ランランは、一度テレビでその演奏を見たが
大きな瞳で、また表情豊かで
汗びっしょりになりながらひたむきに演奏していた。
若さ溢れるエネルギッシュな演奏だった。
また、その姿に非常に感銘を受けた。

音楽はお客さんの前で演奏するのもなので
演奏を「見せる」という要素も絶対不可欠だ。
ランランは演奏を「見て」楽しめて
聴くだけでも素晴らしいという
才能溢れれる若手奏者だと思う。

チャイコフスキー、ピアノ協奏曲第1番!
まず!オケの演奏が抜群にすばらしい!
そして、ランランの叩き付けるようなピアノで始まり
あたかも、凱旋将軍が威風堂々と行進するかのような
まっすぐな演奏でオープニングする。

そして、オケ、ピアノともに感情豊かな演奏が続く。
ピアノのテクニックも聴いていて心地よい。
小さな音での早いフレーズなど
お湯を弱火で沸騰させた時に
小さな泡が次々にわいてくるかのごとく
粒のそろったピアノの音が心地よく耳に入ってくる。

そしてメンデルスゾーン、ピアノ協奏曲第1番。
ピアノ協奏曲の形式を意識せずに作曲したであろう楽想は
ピアノとオケが完全に溶け合った曲だ。
コーヒーと牛乳をミックスして、初めてカフェオレという飲み物ができるような曲だ。
しかしながら、オケがピアノを最大限にサポートして
ピアノ演奏をより、魅力的なものにしているのが良く解る。

オケとピアノの迫力を楽しむなチャイコフスキー。
よりランランのピアノを楽しむならメンデルスゾーンだ。

いずれにしても、このCDは非常にすぐれた演奏と感情表現に成功している
ピアノ協奏曲であることは間違いなく
聞き終わった時に、ランランが汗だくになって笑顔で挨拶をしているのが
目に浮かんでくるような魅力的な1枚である。

次回、CD32、マゼール&ベルリンフィル/メンデルスゾーン、「イタリア」「宗教改革」





2012年2月20日月曜日

CD30 クーベリック&ベルリンフィル/ドヴォルザーク、8番・9番「新世界より」

感情豊かで、非常に繊細かつ大胆な演奏である。

8番は初めて聴いたが、各楽章とも非常に素晴らしい曲を
非常に素晴らしいクーベリック&ベルリンフィルの演奏が
曲想を感情豊かに奏でている。
メロディーが日本人の感性にストレートに入ってくるようだ。

9番「新世界より」
2楽章、4楽章の有名なメロディーは当然すばらしい。
それ意外の楽章は今回初めて聴いたが
アメリカの荒野を馬に乗って駆け抜けてゆくかのような
壮大な楽想だ!

このCDの演奏は、ダイナミクスの幅が非常に大きく
繊細な部分はガラス細工のように
大胆な部分は爆弾が爆発したように
メリハリがハッキりしていてい
あたかもオーケストラが語っているような演奏だ。

古典派の楽想に、ロマン派のフレーバーを振りかけたような
個人的に好みの曲だ。

ドヴォルザークの他の曲も聴いてみたくなる1枚である。
また、他の指揮者やオケも聴いてみたい!

次回、CD31、ラン・ラン、バレンボイム&シカゴ響/チャイコフスキー、メンデルスゾーン、ピアノ協奏曲


2012年2月3日金曜日

CD29 コジェナー、マルコン、ヴェニス・バロック管弦楽団/ヘンデル:アリア集

ベニスバロックオーケストラとの素晴らしい録音である!

CD28もそうだが、CDのデータにノイズが載っている、非常に残念だが
オケの演奏も非常に素晴らしいし
コジェナーの感情表現が非常に素晴らしいとともに個性的な声でもある。

歌の感情表現は、日本のシャンソン歌手のように
語るように歌い、言葉が解らなくても
どのような事を言いたいのかを何となく解る歌い方だ。

オケの演奏も、かりに歌がなかったとしても
オケだけでも素晴らしい作品としてなりたつ素晴らしい演奏で
優雅な響きにして繊細さと大胆さがあり
同時代のバッハの曲と比較すれば
バッハが石造りの城だとすると
このCDの雰囲気は
宮殿のキラビやかな部屋と言った感じだ。

バロック時代の曲は色々な雰囲気の曲が多くて
面白い時代だったんだな、と感じる1枚である。

次回。CD30、クーベリック&ベルリンフィル/ドヴォルザーク、8番・9番「新世界より」


2012年1月25日水曜日

CD28 クライバー、ウィーンフィル/ベートーベン:第5&第7

第五の第1楽章はスピーディーでスマートな演奏だ!

他の指揮者の演奏と聴き比べれば
その快速なテンポがハッキリと解る。

余計な感傷的な気持ちなど微塵も感じない演奏。
まるで、青年が大嵐の中を全速力で走っているかのような演奏だ。

全体的に、残響音が多めのスケールの大きめのサウンドだ。
そして残念ながらCD自体のノイズがけっこうある。(私のCDだけだといいが)

その他の曲は、標準的なテンポといっていいだろう。
このクライバーのCDは、強弱のメリハリが非常にあり
弱音のときボリュームを上げると
他の部分でビックリするくらいデカイ音になる。

とにかく!この五番の第一を聴いてしまうと
他の五番第一が、あざとく聞こえてしまうくらいに
さっぱりと切れが良い。
アサヒスーパードライのような演奏だ。

名盤かどうかは正直なところ解らないが
このような演奏もある!という
個性的な1枚である。

次回、CD29、コジェナー/ヘンデル:アリア集






2012年1月20日金曜日

CD27 ケンプ、ライトナー、ベルリンフィル/ベートーベン:ピアノ協奏曲4番&5番


ベルリンフィルが、メタリックグレーとでも例えられる
いかにもドイツらしいサウンドを奏でる!

そして、ケンプの確かな技術の
繊細で実直な、非常に響きの良いピアノのサウンドが
オーケストラの音と完全に解け合っている!

サウンドのバランスは
若干ピアノの音が前に出ていて
それでいて、オケの音も出す所は出す!というような
ピアノ協奏曲として、聴き易くバランスの良いサウンドだ!

ケンプって本当に上手いピアニストだと思う。
難しいフレーズでも、オケとのリズムが崩れない!
難しいフレーズでも、テンポがモタつかない!
オケとの掛け合いのような部分も、リズムが走らない!

ケンプは、以前にベートーベン、ピアノソナタ全集を聴いたが
ピアノを歌わすのが非常に上手いピアニストだ!
そのケンプの演奏が、ライトナー指揮のベルリンフィルの音と
一体となって、まるで、ピアノシンフォニーとでもいうような
素晴らしい作品となっている!

ライトナーも、決してオケが出しゃばる訳でもなく
かといって、ピアノに遠慮して控えめでもなく演奏している。

ケンプも、オケと寄り添うように演奏していて
なおかつ、出る所はガツンと出る!!

本当に素晴らしい演奏!

4番も5番も、凛々しくもおしとやかな楽想で
ベートーベンの激しさと、繊細さが見事に表現されている。

この演奏はまるで、ある老夫婦が
一つの洋食屋を長年経営してきて
言葉を交わさなくてもお互いの動きを察知して
いいタイミングでドリンクと食事を出し
多くのお客さんに毎日喜んでもらえるサービスを
提供し続けている、心和む店のような演奏だ!

このCDは、ピアノ協奏曲のお手本のような
本当に素晴らしいアルバムだ!
名盤といえるだろう!

次回、CD28、クライバー、ウィーンフィル/ベートーベン:第5&第7

2012年1月18日水曜日

CD26 カラヤン、ベルリンフィル/第九、コリオラン

ついに登場!カラヤン、ベルリンフィル!

このCDは1曲目のコリオランが実に素晴らしい!

第九は残響音がけっこう深く
若干だが輪郭がモワッとしている。
もちろん!演奏はダイナミックかつ迫力は十二分にある!
サウンドは重低音、高音も素晴らしいが
欲を言うならば、中音のドカンとくる迫力がほしい。

70年代の交響曲全集がゴージャスとすると
こちらはマイルドな感じがする。

小さな音で効くと
ステージからこっけう遠くで効いている感じがするので
ぜひ!この第九を聴くときは
大きなスピーカのオーディオで
デカイ音で聴いてほしい。
すると、あたかも響きの良いホールで聴いているかと
錯覚を覚える程の演奏である。

とにかく!このCDはコリオランの迫力と曲想が
非常に素晴らしい!

コリオランは、ハインリッヒ・ヨハン・コリン作の
5幕からなる悲劇「コリオラン」の為に書かれた序曲だが
劇のコリオランで実際に演奏された記録は無いとの事。

コリオランのあらすじは・・・

主人公コリオランは、古いローマの貴族の一門に生まれ
庶民の群と結託し、コリオラン自ら第一陣にたち
自分の味方に反旗をひるがえし出陣する。

しかし、母親の切な、いましめと懇願により
意をひるがえし改心するが
結局は庶民群の為に殺害される。
(属啓成著、ベートーベン作品編参照)

この曲、コリオランは
劇の内容と楽想が一分の隙もなく
ぴったりと合致するとの事だ!

その、ドラマチックな曲を
カラヤン、ベルリンフィルの最強オーケストラの演奏で
あたかも映画でも見ているような錯覚さえ覚える。

すでにコリオランを
5回程聴いてしまった。

仕事に疲れた体で少し休憩したいのだが
あと1回聴いたら休もうと思っても
さらにもう1回聴いてしまい
またまた、さらにもう1回聴いてしまう。

その演奏の迫力と繊細さに
取り付かれてしまうのではと思う程の
素晴らしい演奏だ!

このCDは
コリオランの名盤と言っても良いのではないか、と思う1枚である。

次回、CD27、ケンプ、ライトナー、ベルリンフィル/ベートーベン:ピアノ協奏曲4番&5番













2012年1月17日火曜日

CD25 ヨッフム「カルミナ・ブラーナ」

かの有名な曲からはじまるこのCD。
まるでオープニングの曲想と歌詞は平家物語の冒頭に通ずるものがある。

祗園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、
唯春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、

と、ほぼ同じような意味合いの歌詞の曲から始まる。

そして、俗世間の色恋事や
酒の席での愚にもつかない話。
人生の喜怒哀楽を歌ったこの曲は
最後にまたオープニングの曲にもどり
人生とは六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の6つの生命状態)を繰り返す
とでも言わんとばかりのフィナーレで終わる。

25曲、さまざまなシチュエーションの歌詞だが
その歌詞の雰囲気を音で良く表している。

そして、その雰囲気を演奏と歌が
感情豊かに表現している。

このCDの約1時間程の演奏で
人生を表現しているのだ!

なんともドラマチックなCDだろう!
劇的な音楽で幕が開け
そして劇的な最後で幕を閉じる。

なんだか、自分の人生を振り返り
今までの自分はこれで良いのだろうか?
と、考えさせられる
非常に説得力のある1枚である。

次回、CD26、カラヤン、ベルリンフィル/第九、コリオラン



偏に風の前の塵に同じ。

2012年1月16日月曜日

CD24 ホロヴィッツ・イン・モスクワ

このCDはとてもいいです!
ピアノ好きには、絶対におすすめです!

ホロヴィッツが、自分の心をそのまま音にしているかのような演奏!

決して押し付けがましい所がなく
自分がピアノを弾きたいから弾いてるだけ
とでもいうような演奏だ。

非常に繊細なタッチと、確かなテクニックの演奏なのだが
その技巧をまったく感じさせず
曲そのものを透明感あるサウンドで
聴く者を、曲の世界に没頭させてしまう
非常に素晴らしいCDである!

聴いているうちに
小説でも読んでいるかのような錯覚を覚える程の
ドラマ性を感じる演奏だ!

そして、音の強弱のコントラストの幅が大きいが
その弱音で時々弾く、高速フレーズが
水が流れるかのごとく、非常に美しい。

ホロヴィッツの演奏を例えるならば
まるで、ガスコンロでお湯をわかした時の水泡のような演奏だ。
強火ならば、大きな水泡がブクブクと激しくわき
弱火ならば、小さな水泡がプクプクと小さくわく。

そのお湯の水泡の様に
ホロヴィッツの演奏は
無限の強弱のコントラストで
内面を自由自在に音で表現できる
素晴らしい演奏家である!

このCDは、今後も何回も聴く事になるだろう。
ピアノ演奏のCDの中でも
私が最も好むCDとなるに違いない。

次回、CD25、ヨッフム「カルミナ・ブラーナ」






2012年1月13日金曜日

CD23 ヒラリー・ハーン/バッハ:ヴァイオリン協奏曲

ヒラリー・ハーンのバイオリンの音色の素晴らしい事!!
バイオリンという楽器を、完全に鳴らし切っている!

また、ジェフリー・カハーン指揮の
ロサンジェルス室内管弦楽団の
切れ味のよい、引き締まった演奏が
ヒラリーの演奏を引き立てる。

個人的に、バイオリン系の曲には
今まであまり興味がなかったが
このCDを聴いて、バイオリンのサウンドにも
興味をもてるようになった!

まるで、牧場に行った時に
絞り立ての特濃牛乳を初めて飲んだ時に
「市販の牛乳と比べて、こんなにまろやかで、密度の濃い味なんだ」
と、初めて感じた時のように
ヒラリー・ハーンのバイオリンの音色は密度が濃く
この音はヒラリーに違いないと感じさせる
個性的なバイオリンのサウンドがする!素晴らしい!

私はギターを弾くのだが
指先のテクニックは、鍛えればいくらでも上達するが
良い音色で、楽器のボディー全体を鳴らし切るというのは
良い指導者のアドバイスと
自身の努力、研究があってこそのサウンドなのだ!

また、ビブラートも音色に重要な要素で
うまくビブラートを使えると
音に粘りが出て、耳心地のよいサウンドになる。
そして、ビブラートは演奏者のサウンドの個性になる。

ギター演奏の経験から推測するに
ヒラリー・ハーンは、かなりの努力家であり
研究熱心であり、かつ、楽器へのこだわりを強く感じる。

そして、彼女はバイオリンを歌わせる事の出来る
非常に素晴らしい演奏者ということが
このCDでよくわかる!

私にとって、バッハの曲は聴いているうちに
飽きてしまう事がよくあるのだが
このCDは、ヒラリー・ハーンの音色だけでも
最後まで一気に聴かせてしまう
魅力あるCDである!!

次回、CD24、ホロヴィッツ・イン・モスクワ




2012年1月6日金曜日

CD22 グリモー&サロネン/クレド

まずは収録曲から。

コリリアーノ/オスティナートによるファンタジア
ベートーベン/テンペスト
ベートーベン/合唱幻想曲
ペルト/クレド

そして
オケ/スウェーデン放送交響楽団
合唱/スウェーデン放送合唱団
指揮/エサ=ベッカ・サロネン

1曲目の、オスティナートによるファンタジアの作者、コリリアーノは
アメリカ・ニューヨーク出身の作曲家であり、ニューヨーク音大の教授。
この曲、浮遊感のある曲だ。
鏡のような水面に、水滴がポタっと落ちた時のような
水の波紋を思わせるような、静寂を感じさせる曲想と演奏。

2曲目のテンペスト。
女性らしさを感じる演奏。
タメを効かした演奏が個性的。

3曲目の合唱幻想曲。
第九を思わせる様な曲。
荘厳より明るさを感じる。
オケの音が素晴らしい!!
途中、ピアノとオケがズレそうになるものの
なかなかの好演。
合唱も素晴らしい。

そして、エストニア出身の作曲家、アルヴォ・ペルトの曲、クレド。
はじめは荘厳な感じで始まるが、次第に和音が不協和音になり
そして、リズムをも崩壊させるかのような、破壊的な曲想になり
次第に、音楽が形へと復元され穏やかな曲想になり
最後に合唱の咆哮ともいうべき声のあと
超静かなピアノで消え入るように終わる。
なんとも不思議な感じの曲だ。

ちなみに「クレド」の意味はラテン語で信条。
名詞としての意味は、会社の社訓や心得などが書かれた
携帯できるカード状の物。

このCDは、デッカ移籍第1作目となるグリモーの信条を形にした
まさに「クレド」なCDなのである!

そして、グリモーは、地球という生命体は、皆つながっているのだ!
という事を、このCDの選曲で表したのではないかと思う。

変わった選曲のCDだが
強い強い決意と気合いを感じるCDである!

次回、CD23、ヒラリー・ハーン/バッハ:ヴァイオリン協奏曲